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2004年02月09日ログ。   

●2004/2/9

 受験シーズンだ。

 俺が受験生だった時の思い出話を通して、今の受験生へエールを送りたい。

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 試験前夜のこと。

 布団の中で必死で寝ようとしていたが、どうも体が熱っぽくて眠れない。夜中になって「風邪気味なのかもしれない」と感じた。これは大変だ。薬を飲もうにも家族全員クスリが嫌いなので常備薬は無い。買おうにも薬局は閉まっている時間。このまま明日、本格的な風邪になっていたら取り返しがつかない。何かで悪化を防ごうと思って、寝床を出て台所へ向かい、体に良さそうなモノを物色した結果、「酢」だな、と思った。

 酢をそのまま飲むのはさすがに厳しいことが予想されたので、マグカップに酢を2〜3cmくらい入れ、そこにお湯を8分目まで入れて割ってみた。なんとなくそれっぽい感じになり、ちょっと体にも良さそうな気がしたので、いい気になって飲んでみた。

 死ぬほどむせた。しかも熱い。お湯は熱湯だ。湯気に乗ってやって来る酢の鋭い臭気も加わりノドと鼻に突き刺さる。ガッホガッホというセキが止まらない。

 しかし俺は飲む事を止めなかった。いま風邪をひくわけにはいかない。明日には受験を控えている。ここで苦痛に耐えるだけで済むなら良いではないか。

 ガッホガッホというセキのリズムを避けるように熱い酢をどんどんノドに流し込む。止まらないセキ。涙も出てきた。

 その内、だんだん「俺、何やってるんだろう…」という疑問が頭をもたげ、自分で自分の状況がおかしくてたまらなくなってきた。ゲラゲラ笑いだした俺。

 そのあたりで、居間の異変に気付き、母が起きてきた。

 

母が居間のドアを開けた瞬間、目に飛び込んで来たであろう状況。

目から涙を流し、
ガッホガッホというセキをしながら、
ゲラゲラ笑い転げている息子。
テーブルの上には酢のビン。
時計は夜中の2時をまわっている。

 

 母は、そっと居間のドアを閉めた。

 

次の日に聞いたコメント。
「ついに発狂したと思った。」

 



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