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2003年06月19日ログ。   

●2003/6/19

 「オレオレ詐欺」というのが流行っているらしい。

 「オレだよ、オレ」と、息子や孫を装ってお年寄りに電話をかけ、「ヤクザの車と交通事故を起こして大変な事になった、すぐに金が要るからオレの口座に振り込んでくれないか」と持ち掛けるという手口。弱者を狙う卑劣な犯罪であり、決して許されるべきものではない。

 ただ「オレだよ、オレ」とだけ言って名乗らない、というのはうまく考えたなぁと思う。これ、他にも流用できるんじゃないだろうか。例えば、合コンをやってる人達を見掛けたら「オレだよ、オレ。忘れたの?イヤだなぁ」とか言って強引に入っていくというのはどうか。タダ酒が飲めるばかりか、出会いだって無いとは限らない。

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 病院のベッドに初老の男、横に座る妻、
 男の体には何本もの管が刺されている

 

「なぁ、とし子」

「なんですか、あなた」

「オレはもう、長くないと思う」

「あらあら、何をおっしゃるのやら」

「オレと初めて逢った時のこと、覚えてるか」

「何ですか急に」

「最後に話したい事があるんだ。覚えてるか?」

「えぇ、覚えていますとも。あれはどこかの居酒屋だったかしら。少し遅れて入ってきたあなたを見た途端、なんていい男だろうって…あの頃は今と違って髪もフサフサで…ウフフ」

 

「…実はあの時な、」

「?」

「オレ、合コンのメンバーじゃなかったんだ」

「……」

「オレオレ詐欺だったんだ、実は。タダ酒でも飲んでやろうと思って入っていったんだ。お前達を騙したんだ」

 とし子はうつむいたまま黙っている。

「でも、あの時お前と出逢えて良かった。この40年、お前だけを愛してきた。それは胸を張って言える。だから最後に謝っておきたかったんだ。すまん、許してくれ」

 

 

 

 長い沈黙の後、とし子は顔を上げ、いつもと同じようにニッコリと微笑み、静かに言った。

「知ってましたよ」

 

 

「……え?」

「あなたがあの場に呼ばれた人間じゃないことくらい、すぐにわかりました。知ってましたよ」

「だったらなぜ…今まで言わなかった?」

「私は…」

 とし子の目から光る筋が頬を伝う。

「あなたを愛してしまったから…あの日から…そして今も……!」

 

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 何とか感動的にしてみようと思ったんだけど、別にきっかけがオレオレ詐欺でもずっと黙ってるほどの事じゃ無いと思った。設定の失敗を認めたい。

 



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