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2004年08月12日ログ。   

●2004/8/12

 サンドイッチは、サンドイッチ伯爵が考えたことになっている。

 トランプ賭博に夢中だった伯爵が、トランプしながら食事を済ませようとして、召使いに「パンに肉をはさんで持ってこい」と命じたのが始まりだとか。本当だろうか。ちょっと検索してみたところ、サンドイッチ伯爵は18世紀にイギリス海軍大臣をしていた人らしい。18世紀のイギリスと言えば産業革命の頃。それまで誰も思いつかなかったのか。蒸気機関に感心する一方で「わー! パンで肉をはさんだら片手で食事できて便利! さすが伯爵!」とか言ってたのか。アホか。

 例えば日本には、おにぎりの化石というのがあるそうだ。弥生時代のものらしいので、おにぎりは稲作の発生とほぼ同時期に誕生していたと考えられる。日本人は優秀だ。おにぎり伯爵の登場を待たない。「メシくらい片手で済ませろ」といった庶民の心意気が感じられる。それに比べてヨーロッパ。「肉をパンではさめば片手で食べられて便利」というだけの簡単な発想が、なぜ伯爵からしか生まれなかったのか。

 

 その謎を解く手掛かりは、隣国フランスにあった。ちょうど18世紀にフランスの王妃が、こんな言葉を残している。

「パンが無ければ、お菓子を食べれば良いではないか」

 

 当時の庶民が、パンが無かったのでお菓子を食べていたことは、良く知られるところである。パン自体が無かった庶民達からサンドイッチのようなものが生まれるはずもない。これが、サンドイッチの誕生が遅くなった理由、と言えると思う。

 時はフランス革命。その後、自由とパンを手にしたフランスの市民達はパンに肉をドンドンはさむこととなる。

 

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 歴史には縦糸と横糸がある。一本の縦糸だけを追っていては見えないものも、他の文化圏との比較や、同時期の周辺地域との関連といった横糸を意識することで見えてくる場合がある。だから歴史を学ぶ時には、常に広い視野で全体を見渡す意識を持っておく必要がある。あと、俺の話は真面目に聞く必要がない。

 



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